2016年3月30日に行われた第39回口頭弁論において「和解」(=世田谷区の裁判所勧告受入れと、原告の訴えの取下げ)が成立しました。
(1)声明「小田急下北沢見直し和解の歴史的勝利」
(2)解説「今回の「見直し和解」の特徴」
(3)裁判所の勧告(=和解案)
(4)裁判所の口頭弁論調書
(5)「シモキタの「和解」を歓迎します」
◆「まもれシモキタ!行政訴訟の会」は、下北沢地域の住民や商業者たちが中心となって2006年8月に結成され、同年9月に下北沢の再開発計画の見直しを求める訴訟を提起、10年の訴訟活動を経て2016年3月30日に行政訴訟として画期的な「和解」を勝ち取りました。
2016年12月4日の臨時総会で名称を「区長とシモキタ開発見直しを協働する市民の会(準備会)」に変更し、新たな活動の段階に入っています。
新たなHPを立ち上げていきたいと考え準備中ですが、このHPには10年間の裁判活動のほとんど全てが掲載されていますのでアーカイブとして継続して活用していきます。
東京地裁民事2部の増田稔裁判長は、保坂展人世田谷区長が二期目の選挙の終盤に補助54号線の2期3期事業を優先整備路線から外す検討に入り、「シモキタビジョン」を打ち出した保坂区長の姿勢と、原告団と弁護団の真摯な立証活動、さらにはオルタナティブとしての「福川意見書」を評価し、和解勧告に踏み切りました。
同裁判長は下北沢の魅力につき、「低層の街並みが育てた」と定義し、この魅力を守るために住民と行政は立場を超えて協働することを求めました。2016年3月30日に公開の法廷で被告東京都参加人の世田谷区と原告にそれぞれ意思表明を行わせました。同時期に東京都が2期3期事業を実際に優先整備路線から外したため、原告側は訴訟を取り下げる表明をし、4月2日までには国も東京都もこれに同意したため、「和解」が実現しました。
しかしながら、国家プロジェクトとしての連続立体事業の見なおしにもかかわっており、「福川意見書」が提起した小田急線上部利用についての緑の基軸を重視した公共利用、つながらない道路用地の利用計画の抜本的な見直しを実現できるかどうかは、住民と基礎自治体の今後の行動にかかっています。「区長とシモキタ開発見直しを協働する市民の会」準備会を立ち上げた意味はまさにここにあります。
その昔、萩原朔太郎、横光利一、坂口安吾、斉藤茂吉、中村草田男、福田正男、中村汀女等の多くの文人が住み散策した下北沢。ここ30年余り、庶民的な音楽と演劇の街へと発展してきました。路地があり、温もりがあり、個性的なお店があるこの街、まさに低層の街並みが育てたこの街を大切に育てて行きたいと考えています。街を分断する幹線道路と高層ビル街は要りません。街を守るために新たな地区計画をつくる必要もあります。
私たちは、画期的な行政訴訟の和解を活かし、区長と協働して、この国の公共事業の構造を大きく転換させる端緒を開きたいとも考えています。どうぞ、ご支援をお願いいたします。