まもれシモキタ!行政訴訟の会

メンバー紹介



2016年9月1日
保坂・世田谷区長に「面談申し入れ書」を提出しました


区長に公式面談の申し入れをしました。


2016年9月1日

世田谷区長 保坂展人 様

「まもれシモキタ!行政訴訟」原告団長 原田 学
小田急訴訟弁護団 代表 弁護士 斎藤 驍
まもれシモキタ!行政訴訟の会 会長 原田 学
155-0031世田谷区北沢2-9-19植松第一ビル201
コモン法律事務所内

区長面談についての申し入れ書

小田急線連続立体交差事業及び関連する下北沢の再開発問題についての裁判の和解が4月2日に成立したことを受け、6月4日の第4回「北沢デザイン会議」終了後に私たちは保坂区長に今後の下北沢の再開発の在り方について別紙「要請書」を提出いたしました。
折しも、この「北沢デザイン会議」開催時期に京王井の頭線下北沢駅から茶沢通りにかけての改良工事(旧来の土手を取り壊し、高架橋に変え、残余地に区道等を整備する事業)の高架下等を利用した商業的な暫定利用計画として「下北ケージ」が京王電鉄により企画され、営業が始められました。
この改良工事による新たな空間利用としての「下北ケージ」については野外商業施設でもあることから、当然のことながら改良事業にかかわる京王電鉄・東京都・世田谷区による公式な説明会が開かれてしかるべきでした。そこで北沢総合支所街づくり課に行政も立ち会った説明会開催を再三要請しましたが、2度にわたる委託運営会社による商業施設利用の説明会が実施されたのみでした。この説明会への出席を区の担当者に求めましたが、結局区の担当者は現れぬままでした。
京王井の頭線の土手の改良工事は一見、小田急線事業とは関係のない事案のように見えますが、実際には小田急線連続立体交差事業の一環として155億円の事業費中、税金から67億円が支出されている事業であって、下北沢駅周辺の再開発事業の一部をなすものであり、地区計画としてもこの事業は区道整備プランとともに掲載されています。
3月30日の世田谷区の意思表明前文は「原告らが,平成27年12月28日に,「下北沢再開発の『見直し』意見書」(福川意見書)を踏まえて,「原告らの和解に対するスタンス(和解案の概要)」を提案し,裁判所からは,本件紛争を円満に解決し,下北沢における道路整備及び街づくりに関するさまざまな意見の対立を超えて,自治の担い手である住民と行政の協働を形成することにより,下北沢の魅力を更に発展させていくことが大切であるとの認識の下に,平成28年3月16日付けで早期解決の勧告がなされたことを受けて,参加人世田谷区は,次のとおり,意思を表明する。」とあり、何よりも「自治の担い手である住民と行政の協働」が重要であることは言うまでもありません。
また意思表明本文には「世田谷区小田急線(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)上部利用計画」を基に、・・・小田急電鉄と調整しつつ,・・・区民等の憩いの公共的な空間となるよう整備を進めるものとする。」とあります。
この認識は、政府の要綱(旧建運協定)の考え方でもあって、京王井の頭線土手の新たな空間は小田急線連続立体交差事業を契機として生まれる新たな空間である以上、この利用もまた「区民等の憩いの公共的空間となるよう整備を進めるもの」として検討する対象であるはずのもので、暫定利用においても同様の考え方を取るべきではないでしょうか。残念ながら京王井の頭線土手撤去改良工事で出来る広大な敷地及び空間、そのことによる周辺の土地利用・再開発の在り方について、地区計画には蓋然的には書かれているものの、周辺住民や商業者、および区民はしかるべき説明さえ受けておりません。
「住民と行政の協働」を進めるには徹底した情報開示と問題協議の新たな在り方が必要とされていますが、裁判和解後もその進展がみられないまま、今回の暫定利用が始められてしまったことは残念であり、このことは早急に改めていただきたいと申し入れておきます。
さて、6月4日に私たちは区長に「要請書」を手渡しましたが、その後、区長と面談し、下北沢再開発問題につき「住民と行政の協働」をどう実現していくかについて意見を交わす機会がなかなか得られませんでした。
京王井の頭線高架下等の暫定利用問題のような具体的事案も生じていますので、早急に面談の機会をいただき、意見交換させていただきたく、申し入れます。


<別紙>
2016年6月4日

世田谷区長 保坂展人 様

「まもれシモキタ!行政訴訟」原告団長 原田 学
小田急訴訟弁護団 代表 弁護士 斎藤 驍
まもれシモキタ!行政訴訟の会 会長 原田 学
155-0031世田谷区北沢2-9-19植松第一ビル201
コモン法律事務所内

要請書

小田急連続立体交差事業に伴う補助54号線および駅前広場区画街路10号線下北沢開発問題について争われてきた一連の下北沢についての行政訴訟は裁判所の異例の努力により住民原告と行政との和解という形で決着を見ました。
去る5月21日に私たちは「下北沢・開発見直し和解勝利記念パーティー」を開催し、元最高裁裁判官を含む法曹界や都市計画の専門家の方々の参加も得て、この行政訴訟の和解の意義について確認しあいました。この記念パーティーに保坂展人区長からは「私も区長として下北沢の魅力をもっと引き出せるよう、職員とともに『参加と協働』でまちづくりに真剣に取組んでいく。」とする趣旨のメーセージをいただきました。誠にありがとうございます。
さて、下北沢地区の補助54号線の2期3期を優先整備路線から外すという原告側の要求が実現したことはこの和解決着の前提条件をなすもので、3月30日に法廷外で、東京都はその方針確定を公表しています。
これに加えて、和解を成立させたのは公開の裁判所で行われた被告東京都参加人の世田谷区の意思表明でした。
その前文には次のように謳われています。

「原告らが,平成27年12月28日に,「下北沢再開発の『見直し』意見書」(福川意見書)を踏まえて,「原告らの和解に対するスタンス(和解案の概要)」を提案し,裁判所からは,本件紛争を円満に解決し,下北沢における道路整備及び街づくりに関するさまざまな意見の対立を超えて,自治の担い手である住民と行政の協働を形成することにより,下北沢の魅力を更に発展させていくことが大切であるとの認識の下に,平成28年3月16日付けで早期解決の勧告がなされたことを受けて,参加人世田谷区は,次のとおり,意思を表明する。」

3項目の意思表明は、要約すれば以下の通りです。
1、「世田谷区小田急線(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)上部利用計画」を基に、・・・小田急電鉄と調整しつつ,・・・区民等の憩いの公共的な空間となるよう整備を進めるものとする。」
2、「『道路占用許可の特例制度』等を 利用して,歩行者が主体で活気ある街として,一体とした街づくりを進めるものとする。」
3、「下北沢の良好な街並みの維持・発展について必要な対応をするものとする。」

前文でいうところの「下北沢の魅力」については、裁判所は和解勧告時の和解案で「参加人世田谷区は,下北沢の現在の低層の街並みが地区の生活と文化を育み, 下北沢を 個性的で魅力のある街としていることに留意し、・・・下北沢の良好な街並みの維持・発展について必要な対応をするものとする」と規定しています。
そのような下北沢の魅力を守るために世田谷区は「必要な対応」をとること、および、小田急線の上部利用については「公共的な空間となるよう整備を進める」ことを意思表明しました。
このことを踏まえて以下要請します。



1、小田急線地下化後の上部利用につき「公共的な空間となるよう整備を進める」ことへの具体的準備を開始すること
①「公共的な空間」にするための小田急電鉄の土地利用の在り方、全体計画の見直しについての検討
②「公共的な空間」とはいいがたい小田急電鉄による賃貸住宅建設等を繰り返させず、小田急電鉄の現時点での上部利用計画をオープンにさせ、「公共的な空間」につき住民が検討したり、要請したりすることができるようにすること

2、低層の街が育てた個性的で魅力ある街・下北沢につき「下北沢の良好な街の維持・発展について必要な対応」について具体的に検討すること

3、裁判和解に対応し、「北沢デザイン会議」等旧来の手法や進め方の再検討を行うこと

4、「福川意見書」を区の計画の中に生かすこと、和解を実現するにあたって役割を果たした公式な文書として取り扱うこと

5、和解過程の資料や裁判資料を街づくりや都市計画の検討に生かすこと、検討素材として利用可能にすること

以上