まもれシモキタ!行政訴訟の会

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2016年10月20日
いよいよ始まる区長との協働―1020日の公式面談報告


10月20日に区長室で、裁判和解後、初めての原告団・弁護団との公式面談が行われました。下北沢の再開発についての裁判和解という事実認識を正しく理解していただき、今後の出発点とすることを目的として、区長からの要望もあり、この日の面談は弁護団と専門家を中心に行われました。
和解から半年。5月21日の集会報告や9月のシンポジウムやトークイベントを通じ、またこの公式面談によって和解の事実の重みについては世田谷区長にもご理解を深めていただいたと考えます。
また、私たちとしても、区長の立場を理解することができたと思います。区長との協働をいよいよ始動できる条件が整ったといえるでしょう。
当日は、午後3時30分より1時間の日程で、斉藤驍弁護団長から、訴訟和解の内容について、レクチャーを行いました。福川裕一先生からは9月17日の「新しい世田谷をつくる会」主催のシンポジウムで区長に提言を行ったということもあり、補足意見が述べられた。以下は当日の概要。

2016年10月20日 午後3時30分~4時40分 於、世田谷区役所区長室応接室
区長側参加者 保坂展人区長、小沢弘美秘書課長
当会側参加者 斉藤驍弁護団長、堂野尚志弁護士、森近薫弁護士、「下北沢再開発の『見直し』オルタナティブ専門委員会」福川裕一委員長(千葉大名誉教授)、小田急市民専門家会議 須田大春事務局長、小田急訴訟原告団 風間章一、高品斉
まもれシモキタ!行政訴訟原告団事務局 藤冨一郎(原告)、木下泰之(原告)

斎藤弁護団長
裁判所は福川意見書(「下北沢再開発の『見直し』オルタナティブ専門委員会」意見書)を評価して、連続立体事業の在り方がこのままではよくないという認識の下、低層の街が作り出した下北沢の魅力を維持発展させることや、上部(跡地)を小田急と調整を図りつつ憩いの公共空間として整備することなど、見直しに踏み込んだ和解内容を示し、世田谷区の意思表明に至ったものである。これにこたえるような采配を振るってもらいたい。9月17日のシンポジウムでは、これから具体的な一歩を始めるとの趣旨の言葉をいただいた。すでに対応をしてきてくれていると評価したいが、区長としても高さを抑えるための都市計画の変更・追加や跡地利用修正に向けてそろそろ具体的な一歩を進めて頂きたい。
今回の和解で示した裁判所の実践感覚に注目してほしい。小田急と世田谷区が既に協議していることは承知しながら、「今後は、事業完了まで、小田急電鉄と調整しつつ、各事業者の設置する施設等が整合性をもって配置されることにより、・・・区民等の憩いの公共的な空間となるよう整備を進めるものとする」
これは、小田急と交渉しつつ、公共的な空間となるように住民と協働して整備をすすめることを求める意思表示である。私は裁判所がこれだけ具体的に踏み込んだケースを知らない。
本来、連立事業では行政と住民と小田急が調整しつつ公共的な空間をつくることが推奨されてきたにもかかわらず、現在正常に機能しているとはいいがたい。
この裁判所の指揮によってなされた和解なのだから、保坂区長は、再開発見直しに踏み込んでいく充分な法的根拠が示されたと受け取っていただきたい。
小田急電鉄とは騒音訴訟での騒音レベルを下げるという和解がなされ、今年その実施時期の期限を迎える。その履行や検証が今後問題になる。和解というのはそういう意味の力がある。
今回の行政訴訟での和解についても、区長は分かっておられると思うが、和解の重さということについて、職員に徹底してもらいたい。
この和解を活用し、正しい意見は通るのだという確信を持っていただきたい。区長にお願いだが、区長の見直しへの選択を問題に応じて、これからさらに明確にしてもらいたい。そのことを期待している。

福川裕一「下北沢再開発の『見直し』オルタナティブ専門委員会」委員長
「みどりの基軸」の見直しについて、どこまで具体的にできるか。新しい事態に対応した、街づくりの検討を示していただきたい。現状の高さ制限60mはやはり高すぎる。一度立ち止まって総合的に考えなおし下北沢にふさわしいものにしていただきたい。
再開発でナショナルチェ―ンが入ってくるような事態から、下北沢の商業をどうマネージメントしていくかの提案も重要。

保坂展人世田谷区長
ご期待に対して動きが鈍いというご批判はあるかと思いますが、一歩ずつおこなっている。最近開かれた「(仮称)北沢PR戦略会議」(10月16日に第1回目実施)には80名が集まった。商店街の人も参加してきている。乗り換えがしづらくなったことや再開発途上で乗降客も減ってきており、危機感を持つ人も増えているなかで、これまでの対立を超えて考えていこうというラウンドテーブルがつくられつつある。
上部利用についても、できることは改善していこうと考えています。
事業途上の道路空間も道路予定地の規制を緩和して、使い方を変えていきたい。
下北沢の商業をどうマネージメントしていくかは重要だし危機感がある。インキュベーターとしての街の機能の在り方を考え、店の旗揚げを補助していくというようなことも考えている。

斎藤驍弁護団長
住民参加という言葉もあるが、うまくいっていないということもある。裁判所も今回の和解勧告で「協働」という言葉を使い、単なる参加と区別している。これまでのやり方を一歩も二歩も進めないとまずいと認識したうえで、和解勧告を行った。
再開発について集中的に検討できるようなラウンドテーブルも必要だし、情報も一元化しなければよいことはない。情報が散漫では困る。組織的問題ということでいえば、下北沢問題での区が関与した市民組織・住民組織はいくつかあり、これまでもその意義は発揮していると思うけれど、下北沢再開発問題の見直しを進めていくためには、これまでの組織だけでは不十分だと思う。
沿線の都市計画でどのようなことができるのか腹を割って話し合えることが必要。私どもも具体的な提案も用意したい。
区長自身もお考えになっていると思うけれども、今日を起点に腹蔵なく話し合える機会をつくっていってほしい。

保坂展人世田谷区長 わかりました。